秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
藤堂さんは厄年だって言ってたから、多分、私よりほんの少し年上だ。
見た目は年齢よりも若々しい。
髪も茶色で、服装もセンスが良く、かといって堅苦しい感じではない。
そのせいか、先日は三十代に見られたって喜んで話されていた。



小さいとはいえ、ご自分で会社を経営されてらっしゃるし、そんな相手なら瑠威だって敵わないと思ってくれるんじゃないだろうか?



もちろん、藤堂さんは独身だ。
三年前に奥さんと離婚されたバツイチだけど、その方が私にはふさわしい。



……私はなんてひどい女だろう。
自分の目的のために、それほど親しくもない藤堂さんを利用するなんて…
最低だ…



そんなことはわかってる…



でも、どうしても私は瑠威と別れなくてはならない。



瑠威には、絶対に幸せになってほしいから。
そのためには、私は悪魔にでも何にでもなる覚悟だ。



夢だったメジャーデビューをして…
そして、そのうち、彼に相応しい誰かと知り合って、誰からも祝福される結婚をして、幸せになってほしい。



そのためなら、私はどんなことだって出来る…



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