秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
「ちょっと思い違いがあっただけだ。
俺は予定通り、かおりと結婚する。」

「瑠威君…でしたよね。
言いにくいんだが、かおりはもう君には気持ちはない。
かおりは君の言動にもう疲れたと言っている。
残念だけど、諦めてくれ。」

(かおり?
呼び捨てか…)



俺は思わず笑ってしまっていた。



「何がおかしいんだ?」

「いや…すまない。
あんたがどんなつもりでそんなことを言うのかわからないが…
俺は自分の感覚を信じる。
かおりは俺のことを愛してくれてるし、俺だってかおりのことを愛している。
あんたが入り込む隙なんてない。」

「……たいした自信なんだな。」

「あぁ…俺とかおりは魂と魂で強く結ばれてるんだ。
こんなことくらいで、その絆が切れるはずないだろ。」

強気な言葉とは裏腹に、大きな不安に押し潰されそうになっていた。
俺は自分で言った言葉を心に刻むように何度も心の中で繰り返した。



(そう…俺達は何があっても一生絶対に離れない。
俺はかおりを愛しているし、かおりは俺を愛してる。)



「君…そういう一方的な想いはストーカーと一緒だよ。」

「一方的じゃない。
俺とかおりは相思相愛だ。
それは、俺の心が感じてる。
俺は…俺は今だって、かおりに愛されてる…!」

「全く、困った人だね、君は…」

藤堂は吐き捨てるようにそう言った。
かおりは何も言わずただ俯いたまま…
望結は不安そうに俺を見つめ続けていた。
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