captivate
1900年前の話をしよう。


[“混沌の魔女” 彼方より死を従え世界を闇に堕とさんとす]


まだ魔女が協会を持たず、己の信念に従って生きていた時代の事。


生まれながらにして、当時最大級の魔力を有した混沌の魔女は、星の英知を得ることで全知全能の存在、すなわち“神”たる存在になろうとした。


“神”になり己の望む世界に変える為、まずは世界を破滅させようとする魔女。


世界の破滅まであと僅かと迫る時、彼女の前に“瞬光の魔女”率いる“十天魔女”が表れ、混沌の魔女を倒したと云う史実。


これは魔女同士の闘いではない。


“混沌の魔女”を支援した南の大陸と“十天魔女”を支援した北と中央の大陸との対立を描いた構図になっていた。


そしてこの大戦は、後に“世界魔道大戦”という名で語り継がれている。


大戦後、魔女達は讃えられた。


しかし皮肉にも語り継がれる伝説は、時代を経て尊敬から畏怖へと変化した。


それほど未知の力というものは、恐ろしい。


魔女に対する風当たりが強くなったのを感じた“瞬光の魔女”は、現在ヨーツンヘイムが存在する地に幻影をかけ、ヨーツンヘイム王国を建国。


また、瞬光の魔女の守護者は、自然の調停者たる彼女らが危険にさらされぬ様、ガーデン騎士団(オーダー)を設立。


そして“十天魔女”は王立魔術協会を設立し、魔女の“規範”を創った。
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