captivate
外に月が昇る。


今はちょうどヨーツンヘイムの近くを飛行していた。


しかし船は止まる事無く飛び続け、レナの母国である北の大陸を統治するレヴァティーン共和国を目指していた。


コクピットのレオン以外は休憩室で眠りにつき、船内に静けさが訪れる。


『闇の血族…か』


オートドライブになっているために操縦桿は握らず、いつもの席に座り、副操縦席でディスプレイを確認しながら呟く。


帝国宮殿での戦闘で少しではあったが、クリスの闇の力をその眼で見た。


明らかな深い闇を纏うクリスを思い起こしてみると、まさしく“闇の血族”の末裔を彷彿とさせる姿だった。


しかし、仲間を守るクリスの心に闇は感じなかった。


少なくともレオンはそう思っていた。


見ただけでは明らかに闇、しかし心で感じる姿は光。


狭間という脆い場所で揺らぐ事無く立ち尽くすその姿が、半日以上経った今でもレオンの瞼に焼き付いていた。


『剣聖…クリス・ヴァンガード
 あいつと初めて会った時も
 立ち位置は微妙だったな』


レオンは煙草を咥え、過去の記憶に笑顔を浮かべた。
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