空を見て、君を見る
始まり

入学式



「ねぇ…みっちゃん…」

真保が申し訳なさそうに
話しかけてくる。
「うん…。まただね…」
これでもう6回目か。

…クラス表に名前がない。
「クラス、わかんないや」
私は苦笑いする。

中谷美季奈。高校一年生。
スカートは膝丈。
化粧なんて…無理。

それより今はとにかく、
職員室に行かなきゃ…。
「真保、先に行ってて。」
私は慣れない足取りで
職員室を探す。
曲がり角に差し掛かる。
ドンッ………
鈍い音が鳴り響く。
目の前には、
いかにも怖そうな男が
こちらを睨んでいる。

しまった…。

ぶつかってしまった…。
謝らないと、何されるか
わからない。
ここはとりあえず…

「ごめんなさい…」
私は頭を下げた。
…あれ?何もない…。
どうしたんだろ…
私は頭を上げてみた。
…いない。男がいない。
「……?」
さっきいたよね…?
まあいいか…。
私は職員室へと急いだ。

「中谷!こっちに来い!」
職員室に入ると
担任らしき人物が
手招きをしている。
「ごめんなあ!!
印刷ミスなんだよ!!」

…言い訳下手すぎる…。

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