【完】好きって言ったら、
「あの、1つ質問いいですか?」
手を挙げたわたしを指さして
「はい、三島さん」
そう言って、羚くんは笑う。
「何のために桐生くんと一緒に帰らないんですか?」
もう、わたしと羚くんの手は完璧に動いていない。
カウンターに座るわたしと、カウンターの中で飲み物を作り、わたしに出してくれる羚くん。
完全にお客さんと店員さんになっちゃってる。
「今まで自分にベッタリだった彼女が突然理由もなく離れたら男は焦るでしょ」
「そうなの?羚くんも?」
「俺のことはいいから」
……違うんですね。了解です。
羚くんはそんなこと絶対思わないよね。
離れていったヤツなんて知らねーよ。って思ってそう。
「華ちゃんの彼の話に戻すね。それで、彼は思うんだよ。俺が冷たくしたのが悪かったかなって。で、優しくなる。ハッピーエンド」
「待ってよ!桐生くんだよ!?絶対ならないよ」