きみに想う 短編集
いつもヒスイが被っている帽子を脱ぎ泉に入る

その様子を隠れるようにして見ている芙蓉

「きゃっ」

小さな悲鳴とともにぽちゃんと泉に落ちる音が聞こえ

ヒスイが振り返ると

濡れて泉にいる芙蓉の姿がある

「芙蓉?」

「キレイ…」

顔を真っ赤にしてヒスイを見る芙蓉

「は…?」

ヒスイは気付いた。帽子がなく金の髪が出ていることに

「まるで、おじさんが話していた月の精のようだわ」

うっとりとした顔で自分のことを見ることに

ヒスイは何故か恐怖を感じていた

「ヒスイ、私をお嫁さんにして下さいっ!」

「断る!!!」

ヒスイは後ずさりしながら芙蓉との距離をとった

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