きみに想う 短編集
翡翠と芙蓉の約束
カラカラに乾いた風が吹く

風が運んでくるのは

ワクワクするようなお伽話

「ねぇ?次におじさんがここに来るのはいつ?」

茶色の髪に大きなくりっとした目

上等な布を纏った女の子が輝いた目で

定期的に通る商人にたずねる

「そうだなぁ、今回は少しこの村にいるから」

「えっ、本当!じゃあ明日また来るわ!」

バイバイと手を振り

少女は連れている従者を連れて戻っていく

「なぁ、ヒスイ。芙蓉さま…可愛いな」

「確かに可愛いけど、恐いよ。
この前なんて、あげる!ってニコニコして何くれたと思う?サソリだよ?この子可愛いよね?って本気で渡してくるんだから!」

豪快に笑うこのおじさんは

各地を旅する商人であり

この地に来る旅に

小さな可愛い女の子、村長の娘である
芙蓉さまにお伽話をし、大変気に入られている

「確かに変わったお嬢様だけどな!
どれ今日の仕事は終わりだ!片付けたら
ゆっくりと裏の泉に行って汗を流すか!」

「えー!片付け終わってないじゃん!」

片付けたらと言いながら

片付けをヒスイに任せて

1人泉に行くおじさん

結局片付けをヒスイがした後

ヒスイも泉に向かうと

おじさんの姿もなく

月明かりで綺麗に泉が反射して

幻想的な雰囲気を出していた
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