As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
朝食をぺろりと食べると、私達はペントハウスへと帰還する。
何故かって……
今日は悠太とコンサートに行くからだ。
「コンサートは15時からだし、折角だからこのままデートでもしない?」
「で、デート……?」
生まれてこの方デートなんてものをしたことがない。
「デートって言っても、コンサートの時間まで、2人で街をぶらぶらしようってこと。…………僕はデートって言った方がいいけど」
「そうだね」
「へ?」
「ん?何もしてないのもあれだから楽しんだ方がいいもんね?」
「あ、あー、そうそう!」
ペントハウスに着くも、まだ出かけるには早い時間だ。
すっかり片付いたリビングは、いつもの綺麗な状態だった。
2人でソファにドカッと座った。
「はぁ、僕達もう17歳かぁ……全然そんな気がしないよ」
「うん……昨日はバタバタしてたから尚更かも」
「まぁ、あれはあれで有りだよね」
「だね」
「………改めて言うけど、やっぱり僕達が同じ日に生まれて、今こうして出会って一緒にいられるのは、偶然じゃなくて必然なんだよね、多分さ」
改めて?
その言葉は良くわからなかったけど、確か
に、これは必然何じゃないかって思う。
産まれた日どころか、時刻だって、数分しか違わないほどだ。
「同じ誕生日なんて、実は私達は生き別れの双子だったのかも。産まれるのは私の方がほんの少し先出し、私がお姉ちゃんかな…………なんてね」
実際、そんなことは絶対にないんだけどね。
「冗談はやめてよ。千代と姉弟なんてやだよ」
「えー」
「僕は、姉弟でもない『幼馴染み』で良かったって思うよ」
「そう?」
「うん。だって、それじゃあ………」
「ん?」
「……なんでもない」
「あ、そういえばもうすぐセカンドシングル発売だね。私もう予約してあるから、学校が終わったらすぐに受け取りに行くね!」
徐々に楽曲も増えてきて、ドラマなどにも起用されるようになり始めた。
そういうものは、地味にチェックしている。
「ありがと。でも、なんだか恥ずかしいよ、聴かれるの。千代に聴かれるのもそうだし、他の皆に聴かれるのも……」
「そうなの?悠太、歌も上手いからそんなに恥ずかしがることはないのに」
悠太だけじゃなくて、StarRiseは全体的にも歌唱力が高く、そういう点でも、高く評価されている。
本人達も、『顔だけのアイドル』じゃないんだと、練習にも一生懸命だから。
「千代だって、雑誌に載った自分の顔が全国の人に見られるんだよ?恥ずかしいとと思わない?」
それは……………
「恥ずかしい」
「でしょ?それと同じだよ。まぁ、もう1年以上やってるし、いい加減、少しは慣れてきたけどね」
あぁ、明後日発売なんだっけ………
なんだか怖い。
と、まぁ、こんな調子で長々と話すと丁度いい時間帯になっていた。
「さて、そろそろあの箱を……」
2人で、ソファ前の低いテーブルに、昨日貰った箱を並べて置いた。
同時にその箱を開けると、中にはお洒落な服が綺麗に入れられていた。
悠太のは、黒のスキニーに黒のベスト、それと白シャツと黒のネクタイ。
私のは、白に近いサーモンピンクの胸元の大きなレースが特徴のトップス、紺色で口が八の字のタイトスカート、そしてブラウンのパンプス。
「き、着替えてくるね」
それらを手に持つと、部屋に入って急いで着替えた。
髪の毛先と前髪を巻いたり、少しだけメイクもしてみる。
部屋を出ると、悠太はあっという間に着替えていて、髪を弄っていた。
「あ……」
「あ……」
「……に、似合ってる!か、可愛い……」
「悠太こそ……似合ってる」
黒縁の伊達メガネを装着すると、「どう?」と聞いてきたから、「ばっちり」と答えた。
「じゃあ、行こっか」
うん、と頷いて私達は一緒に家を出た。