あなたにキスの花束を
私は思わず、そんなあ、という顔になったのだろう。
彼は広い肩を小さく揺らして笑っている。
「実は、君に頼みがあるんだよね」
「頼み? ……何でしょうか」
「俺さ、今さっき、君を助けたよね」
「え、あの、」
「助けたよね?」
確かに助けて頂きました。忘れ物まで届けて頂きました。
お礼を言うだけじゃ足りなかったのかな。
反論の余地が無いので私が黙り込むと、彼はにっこりと笑みを深める。
「だったらさ、そのお礼を請求したい訳」
随分ストレートだな王子!
いや、もちろん何かお礼が出来るならしたいけど。