あなたにキスの花束を
申し訳なさ過ぎて口から魂が出そうだ。
私は両手で文字通り頭を抱え、その場にへなへなとしゃがみ込んだ。
風よ吹け! 天よ荒れろ!
お客様の眼鏡ばっかり覚えて、肝心のお顔を覚えられないこんな間抜けな私など、吹き飛ばして塵にしちゃって全部無かった事にしてください。
地球の裏側までめり込みそうな私の耳に、聞こえてきたもの。
「……ぷッ、…ふふッ、…あはははは…!」
それは王子の、もとい片桐さんの、とても朗らかな笑い声だった。