エリート上司に翻弄されてます!
ていうかペットって……
「(どちらかと言えば向こうがそうなんだけど)」
日々のあれやこれやを思い出して静かにそう思った。
あのハーレムにいる女性達は何も知らないのだろう。今自分たちといるその男が家に帰ったら会社の愚痴を漏らしまくる、甘えたがりの大型犬になることを。
自分に自信はあるくせに、急に弱々しくなるから調子が狂う。
彼がああなってしまうのはきっと彼の性格のせいだから、だから私は何も期待しないようにして接している。
これが正解なのだと思う。
そんなことを考えているとふいに乾先輩と目が合った。
何か私に言おうと口を開いたのを見て、慌てて立ち上がる。
「ちょ、ちょっとお手洗いに」
「おー、気分悪かったら言えよ」
水川先輩に返事をすると席を外れた。
よく来る飲み屋だからトイレの位置は分かっている。あまり飲んでいないからか視界ははっきりしていた。
あー、ラーメン食べたいなぁ。
そんなことを考えながら用を済ますと座敷へ戻ろうとする。
と、
「わっ、すみません」
曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
慌てて顔を上げ謝罪をするが、その人の顔を見て固まる。