そこには、君が

よん





3月になった。


やっとのことで春休みに入る。


今日は終業式で、午前中で学校はおしまい。





「どっか行く?」





「んー…」





思ったより早く終わった私たちは、


遊びに行くか否かで悩んでいた。


お腹空いたな、と携帯を見ているの、


メールの受信音が鳴った。


そこに来たメッセージは、


本人が言っている声が頭の中に


鮮明に出てくるほどの簡単なものだった。







“玄関“






たった一言の短いメール。


それはあの日以来、1回も言葉を交わしていない、


大和からのものだった。


玄関が、なんだというんだ。


そう思って尋ね返してみても、


本人からの返事は一切返ってこなかった。






「お腹いっぱいすぎる」






「リピート決定だね」






新規開拓するのが私たちの趣味。


いつも行ったことない所へ、


凛と2人足を運ぶのが楽しみの1つ。







「じゃあ、また連絡するね」






夕方に用事があるという凛は、


時計を気にしながら帰っていった。


3月は昼間と夜間の寒暖差が激しい。


陽が落ちる前に帰ろう。


時計を確認すると、14:30だった。








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