そこには、君が
「大和、落ち着け…っ」
「俺は至って冷静だ。頭おかしいのはこいつだろ!」
必死に引き剥がそうとする京也。
そこへ騒ぎに気付いたのか、
先生たちが次々にやってきた。
状況から見て、どう見てもやられているのは
大和なのに、いつもの印象でなのか、
抑えられるのは大和だった。
「関係ない奴はバスに乗れ〜!」
「ほら、あなたたちも乗りなさい!」
状況を収集つけるために、
先生たちは慌てて生徒をバスへ促す。
その場に残された大和と、
別の場所へ連れて行かれた相手の男子。
私は促す先生の目を盗んで、
大和へ駆け寄った。
「何やってんの、大和!」
所持していた絆創膏を剥がし、
乱暴に大和の口元へ貼った。
「痛てえばか」
「ばかはどっちよ!もう、修学旅行なのに、喧嘩なんて…」
堪能出来るのは今日だけだっていうのに。
呆れ顔で大和を見る。
この怪我の様子を見ていると、
きっと数回殴られている。
先生もこの顔を見れば分かると思うけど、
普段の印象が悪いだけに大和の言うことを
信じてくれるとは思えない。
「河村、ホテル着いたら話聞かせてくれ」
「…私?」
とりあえずその場を離れないと
いけないという理由でバスに乗せられた。
そして、1番近くにいた私ではなく、
事情を聞くために呼ばれたのは凛だった。
「じゃあこの後、各自部屋に荷物を入れること。入れ終わったらロビーに集合で、歩いて隣の施設に移動するからな」
解散、の合図でそれぞれ荷物を持って部屋へ。
今回の部屋は2人部屋。
先生に連れて行かれた凛の荷物を持ち、
指定された部屋へと向かった。
男子は3〜7階の部屋、
女子は10〜15階の部屋。
女子を上にしてくれたのは、
絶景ビューを見せてくれるためだろうか。
私は自分の部屋の前で荷物を下ろし、
慣れない手つきで鍵を開けた。
カードキーを数秒かざすと、
ピピっと音が鳴る。
もう握力が限界に達してしまい、
持っていた荷物は引きずって中に入れた。