そこには、君が





「忙しいんだ」






「でもね、明らかに様子が変というか。ドタキャンとかも、増えてるし」







どう思う?


そう聞かれて、戸惑った。


どう答えるのがいいのか分からない。


だけど1つ思い当たるとしたら、


それは徹平と付き合っていた時。


別れる前とかよくドタキャンが増えて、


おかしいと思うことが多かったなって。


だけど徹平も言ってたけど、


春太は何も悪いことしてないって


言い切ってたし。


きっと変なことはしてないと、


思うんだけどな。







「なんか、もう難しいのかもしれない…」








凛は消え入るような声でそう言うと、


静かに涙を流した。


あまり泣かない凛が泣いている。


ただ事ではない。








「凛、」







「ごめ…っ、こんな話、」








人一倍気を遣う凛は、


こんな時でも私のことを


心配している。


泣くほど辛かったんだ。


なのに私、全然気付かなかった。


悔しい思いでいっぱいだ。








「とにかくまだまだ話聞くから、放課後遊びに行こ?ね?」







「ん…。ありがとぉ」








涙でぐしゃぐしゃな顔を、


私は指で拭いながら教室へ戻った。


いつも元気いっぱいの凛だから、


余計心配になる。


教室へ戻る廊下。


向こうから大和と京也が歩いてくるのが見えた。


明らかに様子がおかしい私たちを見て、


怪訝そうな顔を浮かべていたが、


私は目で話しかけるなと訴えた。


しまった。


この2人にバレてしまった。


面倒だな。







「凛、教室着いたよ」






「うん…」







今は誰のことよりも、


凛のことが気になって、


授業に集中出来なかった。









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