そこには、君が






「あ、大和くん…」




か弱そうな、


いかにも男の子が好きそうな声で、


彼の名前を呼ぶ。


私はその光景を、


何度となく見てきた。


同時に聞こえてくる足音。





「誰」





「私、2組の…」






一生懸命、話そうとする。


そんな彼女を、


私は可愛いと思った。






「知らない。どいて」






何も感じていないかのように、


淡々と言葉発するその男の視界に


私が入ったようで。






「おー、明香」





「おはよ」





「何してんだ、行くぞ」





気まずい雰囲気を懸命に無視し、


泣いている2組の女の子の隣を通り抜ける。


実際、こんなことは多々あって。







「おはよう、明香、大和」





マンションの下には、


朝から嫌味なくらい爽やかな男。






「まぶしいな、お前」





朝はテンションがとにかく低い。


スポーツ大好き、だけどバカな男。


永森大和。






「それは褒め言葉なんだよね?」






物腰が柔らかく、誰にでも優しい。


勉強もスポーツも完璧で、


学校ではみんなの王子さまらしい男。


津田京也。


この2人は、小さいころからの幼馴染。







「大和、さっきの態度は本当にないよね」





「は?朝から待ってるのが悪いだろ」





咎める私を、


いとも簡単に無視する大和。




「きっとそういう態度でも、好きな子がいるんだよね」





全女子の味方のような、


優しい意見をくれる京也。





「あんな態度とか取るから、私色々言われるんだからね」






「お前ら、朝からうるせー」





なんて言いながら、毎日楽しく過ごせる、


この2人が大好き。


素敵すぎて、好きすぎる。






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