そこには、君が

さん








AM 7:00。


珍しく目覚ましの前に、


目が覚めた。


しかもパッチリと。







「夢…じゃないかな、」







とりあえず、


ベッドから降りて顔を洗う。


歯を磨きながら自分を見つめて、


勝手に頬が緩む。


クローゼットを開け、


お出かけ用の服をチョイス。


もう12月だし、


暖かくしないとだね。


クリスマスカラーに


合わせようか。


ワンピースにしようか。


それともパンツ?


デニムでもいいな。


なんて。


1人ファッションショーで、


あっという間に時間が経ち。


ネイビーのケーブルニットに、


グレーのアウター。


そして白いパンツで決め、


髪をセットして、


玄関の前で待つことに。


華奢な腕時計を気にして10分。


向こう側から足音が聞こえ。






「早いな」






徹平さんは私を見ると、


少し笑って目の前に立った。


昨日ぶりに会ったこの人は、


昨日と何も変わらない。






「あ、」





お互い、同時に声を上げた。


徹平さんは恥ずかしそうに、


頬を掻いて。





「ペアルック」





そう言って、私のアウターを


少し引っ張った。


偶然なのに、何だか、


嬉しくて恥ずかしくて、


もうお腹いっぱいだ。






「似合ってんな」





「え…」





「行こうか」





この人は、私の全てを、


知ってるんじゃないかと思う。


普通にズルい。






「どこ、行くんですか?」





「どこ行きたい?」






徹平さんとならどこでも。


なんて、言えるわけがなく。





「お腹空きました」




「お、いいね。じゃあご飯ね」





何度こうして、


2人で歩く時を夢見ていたか。


初めて会って、話すようになって、


どれだけこの人のことを


考えていたか。






< 64 / 325 >

この作品をシェア

pagetop