深夜1時のラブレター


「ほまれ!」

「亜依さん?来てくれたんですか?」



ベッドに横たわるほまれの傍にいた大塚先生が、驚いたように私を見る。

けれど、私は先生に構わず、ほまれを怒鳴りつけた。



「あんた、いつまで寝てる気?人のこと騙しておいて謝りもなし?勝手なことばかりしてんじゃないよ!」

「亜依さん、落ち着いて」

「起きろって言ってんの!さっさと起きて、病気なんか治して、家に帰ろうよ、また一緒に暮らそうよ、ほまれ」



お願い、目を覚まして……!



ほまれは、特別室というところで静かに眠っていた。

頭に大きな包帯をして、腕に点滴の針をつけられて、元々細かった体がガリガリに痩せていて。

それでも、私の知っている可愛らしい寝顔で、触れた肌も私の知っている温度だった。



「今すぐにでも起きそうなのに」

「医学的にはもう問題ないんですよ、後は本人次第です」



だから、亜依さんに会いに来てほしかったんです、と。

白衣姿の大塚先生が、にっこりと微笑む。

ほまれの頭にあった腫瘍は手術で綺麗に取り除かれ、体は着々と回復していた。

だけど、彼は起きたくないのか目を覚まさなかった。

先生曰くここから先は、神のみぞ知る、といったところらしい。




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