そこにいた

亮先生が戻ってくると、その後ろにはもう一人。





た、武田先生・・・・・・。






一気に変な汗が出た。






余計に寒い。







目の前にある丸椅子に亮先生が座るのかと思ったら、武田先生が座っている。






「綾ちゃん、亮先生に言われたとおり、血液検査にレントゲン撮るよ。」





今回は最初から厳しい口調。






それでも私は首を振る。






「ダ~メ!!!





それに、ちゃんと症状言った?」





言ってないけど、頷く。





「綾子、ちゃんと言いなさい。」






ハッ!!!






初めて聞いた、こんなに静かに怖い武田先生の声・・・・・・。





「さっき僕の診察室の扉が開いたとき、慌てて口を抑えてトイレに入ってく子を見たんだけど?」






わ、私です。






「・・・・・・は、吐き気、寒気、怠いです。」






「はぁ、ちゃんと言いなさい!!!」






やっぱり武田先生には敵わないな。

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