そこにいた

抱き上げられると一番近くの処置室に寝かされた。




そして処置室に置かれた消毒セットを広げて、今先生に傷口の消毒をしてもらっています……。




「うぅ……痛い。」




「しょうがないでしょ、我慢我慢。



もう、あんな無茶はしないでよ。



まだリハビリもしていないのに、どうやったら歩いてこられるのか。



傷口を縫ったばかりなのに……。



また傷口が開いてる。」



少し怒り口調で言う武田先生に、



「は~い。」



と適当に返事をした。



手際よく私のお腹を縫い、最後に消毒をして、ガーゼをした。



「はい、おしまい。



服部さ~ん。他に痛いところはありますか?」



ふざけて聞いてくる武田先生。



「痛いところはありませんけど、お菓子が食べたいで~す。」



「完治したら食べましょ~」



さらっと流され、ムッとした表情を作れば、眉間に人差し指を当てられた。



「この辺が痛いかな?」



と言い、指先でこちょこちょされる。



「やめて~」


と動くと、



「痛い・・・・」


傷口が痛んだ。



「ごめんごめん。」



と言いながら、嬉しそうな武田先生だった。

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