君とベッドで秘密事。
「お兄さんが就職にしろって言ったの!?」
「お兄ちゃんは何も言ってないよ」
「………だったら」
何故?という顔をする千里。そうかもしれない、お兄ちゃんは優しい。それは千里も知っている。
6才の時に両親が死んだ。その時、お兄ちゃんは16才だった。
当時、高校1年生で多感な時期を過ごしていたとしても寂しかったはずだろうに、いつも笑顔でいた。
私に泣き顔を見せないようにしていたのかもしれない。
おばあちゃんと一緒に暮らすことになって、率先して家事や掃除をした。放課後は友達と遊びたかっただろうに真っ直ぐ家に帰ってきて私の遊び相手にもなってくれた。
私の自慢のお兄ちゃん。
私が11才の時に、おばあちゃんが死んだ。お兄ちゃんは、高校を卒業してすぐに働きに出た。
私がいたから。