虹色研究部 - ニジケン -
「皆で、帰ろう」


國枝先輩の優しい声が、花壇にふわりと響いた。
続けて二人の頭をポンッと撫でた彼は、嬉しそうに微笑む。

まるで魔法が解けたかの様に、二人の表情はみるみる安堵の色へと変わっていく。


緊張が解けたのは野々花さんも同じ様で、腰を抜かした様にドスンッと尻餅をつく音がした。


「……何なんですか、あなた達」


野々花さんは唇を震わせながら、ゆっくりと口を開いた。

自尊心を保つ為なのか、私達を怪奇な目で見つめている。


「そ、そんな変態の様な格好までして女子校に潜り込んで……! 挙げ句に人の告白を覗き見したりして、恥ずかしくないんですか!?」


彼女は喚き散らす様に金切り声を上げる。
綺麗な髪は荒ぶる風に吹かれて、彼女と共に激しく揺れていた。

そんな彼女の前に、國枝先輩はゆっくりとしゃがみ込むと、ニッコリと笑顔を浮かべる。
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