虹色研究部 - ニジケン -
「なかなかのクオリティでしょ? 深町もビックリしてくれるかなー」


ウキウキと手鏡で自分の姿を見ては、腰をくねらせて喜ぶ彼。

顔は完全に深町先輩だけれど、やはり中身はいつもの國枝先輩だ。


「本当に悪魔の様な人ですね」


「そんなに褒めないでよ。……じゃあ、行こうか!」


國枝先輩は両手を飛行機の翼の様に広げながら、お化け屋敷の中に飛び込んで行った。

その後に続いて、いたずらっ子の様な表情を浮かべた、和田先輩と滝口先輩も中へ入って行く。


取り残された私と蘭先輩は、視線を絡ませると苦笑いを浮かべる。


「あの中、半端じゃないぞ……」


蘭先輩は、カーディガンの襟元を伸ばしながら、ブルッと身体を震わせてそう言った。

私達が同時にため息を付いた瞬間、中から今日一番の大絶叫と、大量のカラスが羽ばたいて行く音が聞こえた。
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