イケメン副社長にほだされました
もし真司と離れるくらいなら、このままの関係でもいいかも、2番目でもいいかもしれないなんてそんなことを思ったりもしていた。
今日は実際に真司の本命を見た。
すごく美人な人だった。
纏う雰囲気も素敵な感じで、真司の隣に並ぶ姿を想像しても、お似合いだとしか思えない。
私がピンチになったとき、真司はあの美人の手を振りほどいてでも私のところに来てくれる?
そんなの、答えは決まってる。分かってる。
『ピンチのときに頼れないと彼氏じゃないですよね。』
美咲ちゃんの言葉が頭の中でこだまする。
嫌だ。もうこんな関係嫌だよ。耐えられない。
こういうときに、ただ側にいて欲しい。
ただそれだけなのに。
一生ひとりは嫌だよ。寂しいよ。
こんな夜に限って、月は見えない。