姫サマはキワドいのがお好き☆
「ロンフ。ハッド。カーリ。あの冴えないのを送り込んだのは誰?まったく信じられないわ…。」
姫の機嫌はすこぶる悪かった。暗い部屋で不運な三人のメイドたちはその前に直立不動を余儀なくされている。
「しかし殿下。あのヒカルというエージェントはかなりのやり手であるとの報告を受けています。」
姫の顔色をみながらロンフがおそるおそる口を開く。
「そんなわけがないじゃない。事実、事務局だってやり手のエージェントを他国の王女の弾避けなんかに送るわけないじゃない。違う?」
とげとげしい声が言葉を発したロンフを返り討ちにする。
「あー。しかしですね、一応任務を要請した形になりますので…。数日間の我慢でありますから、ね。耐えてください。殿下…。」
「うるさいわハッド。それよりカーリ。あなたにはあの弾よけの調査を命じたはず。どうなの?はやく報告なさい…。」
姫の不機嫌の矛先が一番小さな、紫の瞳のメイドに向いた。
「はい、殿下。あの男がこの世界に登場してからはほんの少ししか時はたっていません。ですので行った工作活動などに関しては詳しい情報を得ることはできませんでした。」
カーリはまったく表情を変えずに淡々と手帳を読み上げた。
「へー。カーリ。それでわたくしが満足するとでも思ったのかしら?」
姫が鋭い灼熱のまなざしを容赦なく小さなメイドに向けた。しかし、カーリはそれに反応すら示さなかった。
「それで、続きを聞こうじゃない…。」
「はい。」
カーリはうんざりしたような返事を返すと話を続けた。
「ヒカル。年齢は十六歳から十八歳の間。ツクヨミが送ってきた情報ですと殿下と同じ年です。あと、写真を見る限り極端に力が強そうということもありません。ツクヨミの資料には得意なことは何もなし…。とありました。おそらくDランククラスで、ほんとに弾よけとしておくられたのではないか…。と思われます。まぁ実際に会ってみないとわかりませんが…。」
カーリはこれほどの長い文章を一息で読み終えた。
「相変わらず単調なしゃべり方ね。そこをお直しなさい。」
姫がベッドからカーリを見下ろしながらつぶやいた。
「はい。肝に銘じておきます。」
カーリは表情も変えずに言った。
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