あたしはそれでもアキが好き
始業式
泣いた次の日が始業式だなんて本当に最低だ。


あたしは泣きはらした顔を見てため息を吐き出した。


冷たいタオルで冷やして少しはマシになったものの、気分は重たいままだった。


あたしとアキが付き合っていたことを知っているクラスメートは誰もいない。


だから、いつも通り登校すればいいのだ。


アキと顔を合わせる事は気まずいけれど、告白して振られた事にすればそれも違和感がない。


学校へ行きながらそんな事を考えている自分は本当に小さな人間だと感じられた。


他人が自分をどう思おうが関係ないのに。


人の目ばかりを気にして……。


その瞬間、アキが男子生徒から『男女』とからかわれていた時の事を思い出していた。


アキはあの時笑ってあしらっていたけれど、本当は心の中で泣いていたのかもしれない。


自分が男性か女性かわからない状態で言われたあの言葉は、どれだけアキを傷つけたかわからない……。


あたしはグッと拳を握りしめて、力強く歩き始めた。


あたしは、そんなアキを好きになった事を絶対に後悔しない。


誇りに思うから……!
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