♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
「…びっくりしたわ。いきなりこちらにやってくるから。

でもやっぱり、思った通りだったわ。

あいつも十二月一日、あの場所にいたのね。

私と美加が、隠れて会っていたあの場所に。

部室の掃除をしている時に、拾おうとしたあのボールペンが、その証拠。

あいつに怒鳴られたせいで、手に取る事は出来なかったけれど、恐らくあのボールペンは、喫茶UNICOの三周年記念に、正にあの日の来店客にしか配ってなかった記念品。

その時の私の話した事を、全て聞いていたのかしら?

…だとしたらまずいわね。

まさかあいつが、城田の従弟(いとこ)だったなんてね。

美加の今大会の出場は、かるたインターハイにつながる大切な物

私が果たせなかった夢を、美加が叶えてくれるって言うのに…

従妹(いとこ)の美加が!」

「ええっ!美加さんはたえ子さんのいと…モゴモゴ!」

(れ、礼士先輩!声が大きいですっ!)

今度は、春子の方が、慌てて礼士の口をふさいだ。

そして恐る恐る、たえ子の方を見たが、すでにそこにはたえ子の姿はなかった。




「…いゃあ〜っ、しかし最後の多野たえ子の告白には驚いて、つい僕も声をあげちゃったよ。

もちろん、城田結と谷本亮が従姉弟というのも驚きはしたけれど」

「ほらあ、人の事言えないじゃあないですか、礼士先輩?

今度は私の方が、礼士先輩の口を押さえる余裕があったから問題はなかったですが」

あれから二人は、神社から行きつけの喫茶店に場所を移していた。

「ん、あれ、礼士先輩どうかしました?

何か嬉しそうですが?」

「ふっふっふっ!

どうだい、僕の推理は正しかっただろ?

谷本亮が、やはり今回の犯人だったんだ」

「…まあ、本人がそう言ってしまった以上、間違いはないですが」

「じゃあ、早速挑戦状の内容と照らし合わせていこう

…よし、こんな所かな?」

礼士は、一枚の紙に今回起こる予定の事件の内容を、新たに得たヒントを元にまとめ直した。

それは、次のようなものであった。

◎谷本亮は、多野たえ子に復讐しようとしている

◎理由は、今から一年前の、多野たえ子による喫煙事件が原因

それによる連帯責任により、城田結がかるた大会を辞退せざるを得なくなってしまった

今は亡き城田結の代わりに、従弟である谷本亮が城田結の無念を晴らそうとしている

◎来たる一月二十五日の、全学年集会の持ち物検査にて、多野たえ子のカバンから、タバコが発見される予定

これには、今回のかるた大会の出場選手であり、多野たえ子の従妹である月山美加を、連帯責任により出場停止にしてしまう、谷本亮の意図がある

これが、第一の結末

◎もし、第一の結末が失敗に終われば、谷本亮自身が、自ら犠牲になることによって、月山美加を出場停止に追い込む予定

これが、第二の結末

「…と、まあ、ここまでは良いんだけれど」

と、ここまで書き出した時点で、礼士はペンを置いた。
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