囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP
膝の力が抜け、立ってられなくなり、二人とも砂浜にしゃがみ込む。

ぎゅうぅ…と、抱きしめられる。

「ヤバい…止まんなくなる」

荻野君が短く言い、身体を私から少し離す。

「俺、頑張って一人前になる。結衣に相応しい男になれるよう頑張る。そしたら、その時は、結衣の全部をもらってもいい?」

「ズルい。荻野君はもう一人前なのに。それ以上に頑張るなんて言われたら、私だって荻野君に相応しい人になれるよう、頑張らないと…きゃっ」

グイッと腕をつかまれ、荻野君の胸に飛び込む。

「晴。はーる、俺の名前」

名前で呼んでほしいってこと?

えーーっ!恥ずかしいよ。無理だよ…

ん?て、可愛く微笑む荻野君…いや晴。

「はっ、晴!」

呼んだ瞬間、ぎゅうぅと抱きしめられる。

「結衣、大好き」

「私も、晴のことが大好きだよ」

名前で呼んだ途端、愛しさが倍増だよ。



クシュン!

「あっ、冷えてきたね。車に戻ろう」

手を繋いで、由比ヶ浜を後にした。









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