囚われた瞳【琴子さんanother story】番外編2UP

鬼の告白

浅田ART企画から、どうやって帰ってきたのか思い出せない。


ポチッ…ポチッ…


パソコンに向かい、機械のようにマウスを操る。


ポチッ…


コト…

紅茶の香り。

私のデスクの隅に、紅茶の紙コップ置かれた。


「お疲れさま。青山、お前はそろそろ帰れ」

チラッと時計を見ながら、岬編集長が言う。


午後8時


「ありがとうございます。でも、残りたいんです」

一人ぼっちの部屋に帰りたくない。晴の物で溢れる部屋へ帰ったら、私は泣いてしまうから。

泣いてしまったら、晴が二度と戻って来ない気がする。



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