【BL】先生のいいなりになんてなんねぇよ
俺の通う高校は進学校であり割といい学校だ。
男女共々いじめなんてないし、
たまにあるいざこざなんて可愛いもんだ。
中学生の時からずっと勉強漬けで何の楽しみもない人生だと思ってきたけどそうでもなかった。
高校の仲間とは割り切った関係で付き合っていて一緒にいたいときだけいる。
そんな楽な関係だ。
「あれ。もう帰りのHR終わったけど?」
机に突っ伏していた俺の肩をポンポンと優しく叩く誰か。
「あ、五十嵐じゃん。よっ」
起き上がると友人の五十嵐がいた。
「美月。今日朝から今までずっと寝っぱなしじゃん」
苦笑いでそう言う五十嵐。
きっと心配してくれてるんだろうな。
五十嵐は小学生の頃からの友達だ。
いつも泣き虫で心配症で。
俺がいてやらないと、駄目な奴。
「はぁ…まぁいいじゃん。疲れてんだよ。ていうかその呼び方止めろ」
「はー。まだ気にしてんの?“美月”って名前」
「だって嫌だし」
拗ねたように言うと、五十嵐はあははと笑った。
「しょうがないなぁ。苗字で呼ぶね。でも女の子達は中性的でいい名前って言ってたけどな」
五十嵐の話を綺麗に無視していると、
ふと聞かれる。
「ねぇ、やっぱりまた家庭教師の先生、止めちゃったの?」
「ああ。その話は帰りながらしよーぜ」
さすが五十嵐。
俺のこと良くわかってくれてるんだな。