恋する想いを文字にのせて…
腕を引っ張られながら白いロビーの床上を歩き始める。


彼女はひと月前よりも、少し色のいい顔をしていた。
幾分ふっくらとしたような頬を後ろから眺めつつ、「帰って良かった…」と書かれてあった文章は、本当だったのだな…と思った。


空港の建物から外へ出ると、目の前にはさほど広くもない駐車場が隣接してあった。
駐車してある車の数も少なく、小さな空港ならではの寂しさが漂っている。


彼女は白いバンのキーをリモコンで開け、「どうぞ」と助手席のドアを開いた。

ごそごそ…と中へ入り込むと、パン!と閉めて運転席に回って来た。


「運転するの久しぶりなので、もしかすると酔っちゃうかもしれませんけど…」


笑ってごまかそうとする彼女の肩を抱いた。

我慢しきれずに奪った唇から、仄かなローズの香りが漂った。


胸をくすぐられ様な香りに惑わされながら暫く彼女とのキスを味わった。

震えているかの様な指先を動かして、彼女も俺のことを求めてくれた。



熱い息を吐きながら彼女の顔を見た。

赤い色の差す頬を撫で、「会いたかった…」と声を漏らした。



「私もです…」


言い終わらないうちに涙が溢れ、その雫を指の腹で拭った。


「ここへ純も連れてこようかと思ったんですけど……母が置いてお行きと言ってくれたので任せました…。連れてきたら、こんなふうにできませんでしたものね……。母に感謝しなければ……」



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