恋する想いを文字にのせて…
そんな自分と同じように津軽芽衣子も故郷に対し、決して色褪せない思い出を持っている。


その懐かしさを抱きながら、いつの日か帰ることを夢見る。




……誰もが同じなんだと思ってしまった。

それこそ一度もお目にかかったことのない方なのに、一層親近感が湧いてしまった。



「先生にお会いしたい」と書いてはいけないだろうかと考えた。

どこに住んでおられるのか、どういった生活をしておられるのか、全く知りもしないけど。



……会ったら何かが変わる様な気がする。


何かを変えたい…と、思い始めていたのかもしれない。






ーー夜中になって、小野寺さん宛てに手紙を認めた。


手紙の始まりは、『いつもお便りありがとうございます。今回は是非ともお願いがあって、早目にお返事を書かせて頂きました。』



これまでの自分からは考えれないような大胆な行動だと思った。

考えてみれば、小野寺さんに初めて便りを送ったことも、津軽芽衣子のセレクトブックを買ったことも、全てが大胆な行動だったように思う。


中でも今回のは特別だ。

けれど、決して一時的な気の迷いではない。



津軽芽衣子に会いたい。

会って、私の話を聞いて欲しい。



何もかも全てを話してみたい。

そして、新たに生き直していくーー。





時間をかけて手紙を書いた。

この手紙を受け取った時、小野寺さんはどう思うのだろう。

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