恋する想いを文字にのせて…
一読者のくせに…と思うだろうか。

自分が至らない事を書いたせいで私の気を迷わせたと、心を痛ませなければいいけど。



『…どうか、ご自分のせいだとは思わないで下さい。

今回の願い事は、私が長年心に抱き続けていたものなのです。


これまでは、勇気も機会も無かった。

でも今は、小野寺さんという強い味方がおられる。



一生に一度きりでいいのです。

どうか、津軽芽衣子先生に会わせて下さい。

先生にお会いして、直接お礼を言いたいんです。

私の青春を謳歌させて下さった、その嬉しさと感動を是非とも伝えたいんです。


アポを取って頂けたら、お礼はそれなりにさせて頂きます。

どうか、お願いします。

津軽芽衣子先生に会わせて下さい…。』




懇願する文面を読み返しながら、どこまでも愚かな自分を笑ってしまった。


ある意味、あの時と同じ結果になるのではないか…とも思うけどーー。



……それでも、もう前へ進むことしか頭にない。

叶えてもらえなければ、そこで小野寺さんとの文通も終わることになる。


…致し方ないとも思う。

最初から、いずれは終わる関係だったのだ。


少し早まっただけと思えばいい。


愚か過ぎる自分の行動のせいでーー。






翌朝、仕事へ行く前に投函した。

ポストの差し込み口に吸い込まれていく封筒を見つめながら、(どうかお願い…)と、手を合わせる自分の姿がそこにあった。





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