恋する想いを文字にのせて…
手紙の始まりは、『初めまして』

やっぱり知らない人からのダイレクトメールかな…と思った。

でも、読み始めて直ぐに違う…って分かった。


手紙の差出人は、とある出版社の方。


先月の初め、自分が便りを寄せた人だ。


『初めまして。最上 来未さん。私の名前は、小野寺 漠です』


優しい響きの様な気がした。

どんな人かも知らない方からの手紙を、この後、何度も読み返すことになった。



『先ずは、突然の便りが届いて驚いているだろう貴女様に、私が誰かをお知らせしたいと思います。

私は都内の出版社で、編集者として仕事をしている者です。

先日、貴女様から頂いたお手紙を拝読し、お返事しなければ…と思い立ち、こうして筆を取っている次第です。

お手紙を賜ったのは大分前なので、貴女様は忘れておられるかもしれませんが………


『津軽 芽衣子』という名前を出せば、きっと思い出して頂けるはずです。


津軽 芽衣子は漫画家です。

貴女様が学生時代、こよなく愛した…と書いてあった作品の著者です。


もうそろそろご理解頂けましたか?

貴女様は私に、ファンレターを何処へ送っていいか分からないので……という始まりの手紙を下さった。

まさか私に手紙を書いて下さる方がいるなんて思いもしなかった為、何の気なしに津軽先生の元へ自分宛ての手紙ごとファンレターとして送ってしまったのです。』


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