恋する想いを文字にのせて…
郵便受けの中に、淡いピンクの封筒が入っていた。

県外の友人から届いた便りだろうか…と思い、手に取った。



ドキン!…と脈打つ音を聞いた。


ボールペンか万年筆かで書かれた封筒の文字は、いつも以上に力強さを感じさせる。


5通目の便りを出して、1週間と経っていない。

その事を意識しながら考えて、やはり夜まで待てない…と思った。


震える手でハサミを握った。

縦書きの封筒の頭を切って、中から漂うコーヒーの香りを嗅いだ。


ーーもしも願っている通りの内容だとしたら、必ずこのコーヒーの香りについて伺おう。

他にも伺いたいことは色々とあるけれど、一番最初の取っ掛かりとしては相応しい。


時間の許す限り、なるべく喋り続けられるようにしたい。

その願いがどうか受け止められていますように。


前回のような立腹した手紙ではありませんように……。



二つ折りにされた便箋を開いた。

その冒頭に書かれた文字を目にして……


キュン……と数年ぶりに胸が苦しくなる想いを感じた。


思わず目を瞑り、ぎゅっと両手を握りしめる。


自分が送った手紙を書いた時と同じように、ドキドキと高鳴る鼓動を耳にしながら目で文字を追いかけたーーーー。


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