Pathological love
9. captive

「はぁ~………。」


オフィスの窓から外を眺めると、生憎の曇り空。

午後からは雨が降るらしい。

私の心も曇り空の如く、どんよりとしていた。

あの日からと言うもの、通常業務に戻った私は、仕事に余裕が出来た所為で、毎日のように思い悩んでいた。

夜になれば、連理とご飯を食べるのは嬉しいのだけれど、自分の思いを認めた今では、恥ずかしいし落ち着かない。

ずっと、斎藤さんとも会ってなくて禁欲生活の所為か、連理の無防備な仕草や、軽いボディータッチにも、キュンキュンしてしまう始末。

いい年して、まるで思春期の男の子みたいに欲情して、どうしようもない。

かといって、片想いの人に、どうアプローチしたらいいかも、経験が無いから分からない。

身体だけの付き合いなら、簡単に誘うタイミングが分かるのに。

長い間、恋愛事を封印していた付けの所為か、今の私は、どう一歩を踏み出せばいいのか分からず、欲求不満でどうにかなりそうだった。


「はぁ~…。」


(そう言えば、あれから斎藤さんに連絡してなかったな………ちゃんと話ししなくちゃ。)


ボーッと物思いに耽っていると、人気の少ないオフィスに声が響いた。


「すいませ~…ん。あっ!令子?」


「花枝?」


「もぅ、何度も呼んでるのに、誰も出て来ないんだから………藤森いる?」


「ごめん。藤森は出先だけど………急ぎ?」


「そうかぁ~…残念。別に急ぎじゃなかったんだけど、タイミング悪かったな。まぁ、帰ってきたらでいいや。それにしても、営業一課のクィーンが、この時間、デスクに居るなんて珍しいじゃない?それにボーッとしちゃって………どうかしたの?」


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