今すぐぎゅっと、だきしめて。


「どうして、ここに……だって、あたしさっきまで森の中にいて……それで……」



考えただけでも
体はガクガクと震えだした。


だって
無意識のうちにここまで来てしまったわけでしょ?


……ありえない。

ありえないよぉぉおおッ!!


もう、こんなの肝試しでもなんでもないしッ

ほんとに
怖いよ……。

摩訶不思議すぎるよッ……





「なあ。 ちょっと落ち着いてよ?」

「ぎゃッ!?」


気が付くと、すぐ傍まで和田君が来ていてあたしの顔を覗き込んだ。

和田君の声だけで、あたしの体は拒否反応を起こす。


そりゃ、そうでしょ。


だって、さっきの和田君……ちょー怖かったんだからッ!


背中に彼の体温を感じて、思わずおかしな声を出したあたしはビクリと振り返った。



「なな……なにッ!?」



警戒態勢のまま、あたしは和田君から一歩、また一歩と距離をとる。



そんなあたしを眺めて、少し面倒臭そうに頭をポリポリ掻いた和田君は「はぁー」と大きく溜息をついたあと、またあたしに視線を戻した。



……ビクゥ!



さらに目を細めた和田君。
そして、一瞬宙を仰いだあと呆れたように呟いた。



「あのさ……ユイ」

「へッ!?」



…………。


……………ええぇぇえッ!!?

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