今すぐぎゅっと、だきしめて。

聞こえてきたのは、予想外の声。


あたしの緊張とはウラハラな
なんとも楽しそうな、懐かしくて明るい、ヒロの笑い声だった。




「……」

「アハハハ」



体を折り曲げて、お腹を抱えて笑うヒロ。

あたしから顔を背けて笑い転げてる。



な、なに？



意味がわからなくて、ポカンと開いた口が塞がらない。



「……はあー、おもしろかった。　あのさ、そんなに動揺するほど、俺、似合ってないかな？」



え？



前髪を払うように額に手首を当てながら、まるで伺うように、ヒロはあたしの顔を覗き込んだ。



ドクンッ






「えッ？……ぎ、逆です！　似合いすぎですッ」




って、あたし本当に動揺しすぎだからー！


びっくりして、思わず親指まで立てちゃったし。
あたし何してんだあ。


恥ずかしいやら、哀しいやらでもう頭の中グチャグチャだ。



また笑われるって思って、ギュッて目を閉じたけど。
そんな気配はなくて。


あーあ。
きっと変な子って思われた……。


せめて、いい印象がよかったな。





そっと目を開けたあたしの瞳に映ったヒロは




「……」





優しく目を細めてたから

息をのんだ。