今すぐぎゅっと、だきしめて。

あたしが、好きだった……あの笑顔だ……。



どうして?


どうして、ここで。
その顔をあたしに見せてくれるの?


ヒロは、あたしのモノじゃない。

ヒロは、永瀬真尋は……ちぃちゃんの大事な人なのに。




優しいんだよ、ヒロは。


だけど、その優しさは時に残酷なものなんだって思い知った。




自分の気持ちに気づかないフリしてた。


あきらめたって、思うようにしてた。



それが1番いいって。




だけど……ヒロがそんなんだから。
あたし……




どうしたらいいの?







「ハイ、それじゃ並んでー!」



記念にみんなで撮ろうってなった写真。


しゃがんだヒロの隣は、なぜかあたしで。



肩が触れそうで
体温を感じそうで



ほんの少し体を傾けたら、きっとヒロに触れられる。



その数センチがもどかしくて


また泣きそうになったよ





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