強引上司と過保護な社内恋愛!?
「行くわよ!準備はいい?!」

タクシーを降りると松井さんは声を張って元気に尋ねる。

本日は襟元にゴージャスなファーがついた黒いコートをお召になっている。

アラサーの私より断然派手だがよくお似合いだ。

「…はい」

張り切る松井さんとは正反対に私達のテンションは極めて低い。

さっきの赤っ恥な出来事に桧山さんも動揺を隠しきれない様子だ。

「何なのー?!若いのに元気が足んないわよー!」

松井さんは大使館までの道のりを先陣を切ってチャキチャキ歩いて行く。

私達はその後をしょぼくれながら並んで歩く。

「さっきは…ごめん」

桧山さんは松井さんに聞こえないようにボソッと呟く。

「まったくです」私は憮然として言う。

「だけど煽ってきたのは泉じゃん。乗り気だったくせに」

私は水からだされた金魚みたいに真っ赤になって口をパクパクさせる。

「ちょっと!何いちゃついてんのよ!」

松井課長突っ込まれてギクリとする。

「あ、妬けました?」

桧山さんはいつものライトな感じで言うとヘラリと笑う。

松井さんは呆れたように肩をすくめた。
< 147 / 360 >

この作品をシェア

pagetop