強引上司と過保護な社内恋愛!?
「おーかーわーりぃぃぃぃ」

私がグラスを差し出すと、髭面は渋い顔をする。

「タモ、いい加減にしとけよ」

「何よ!売るほど酒があるくせに、私に出す酒はないっつーの?!」

帰り際サカバルに立ち寄り、おっさん女子全開でクダを巻く。

坂田は肩で大きく息を吐いた。

「おい、佑樹」

自分では手に負えないと賢明にも判断したようだ。

キッチンから仔犬系男子が姿を現す。

「泉さん、大丈夫?もう止めておいたら?」

佑樹君くんは私の手からソフトにグラスを取りあげようとする。

が、しかし、私はワイングラスの持ち手をがっちり掴んで離さない。

「いいじゃない。何もかもうまく行かないんだからお酒くらい好きに飲ませてよ」

「なんだよ、その人生に行き詰った中年女性みたいな台詞は」

「それ、上手く例えたつもりかもしれないけど、全然例えてないからね。そのものだから」

私がジットリとした恨みがましい視線を向けると坂田はハハっと可笑しそうに笑う。

「何言ってるの。泉さんは女盛りでしょ」

佑樹君くんは二コリと微笑みながら、赤ワインのおかわりをグラスに注いでくれた。

「ありがとう…」

営業トークがいつもより胸に染み入る。

それくらい今日の私は弱っているってことか。
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