強引上司と過保護な社内恋愛!?
「あー!桧山さん起きたんだぁ」

慌てて振り返ると、石川さんとその取り巻き達がブリブリしながら―――あくまで私の主観だけど―――此方へやって来る。

私を押しのけると、あっと言う間に桧山さんを取り囲んだ。

何なの、こいつら…折角いい感じだったのに。

私は寛一に蹴飛ばされたお宮のごとく、畳の上に倒れ込む。

しかし桧山さんはどこ吹く風。

「ひやまさぁん、二次会行きましょうよー」石川さんはさり気なく腕をからませる。

いいね、なんつって桧山さんは満更でもなさそうだ。

その顔を見ていたら無償に腹が立った。

ああ…なんかもうどうでもいいや。

私は鞄を掴んで無言のまま立ち上がる。

「あれー、田母神はいかないの?二次会」

呑気に桧山さんが声を掛けてくる。

その無神経さが、更に私を苛立たせる。

「…帰ります」

私はブリザードのような冷やかな視線で一瞥した。

「なに今の目ぇ!超恐くないですかぁ」

背後から年増のクセにブリブリした石川さんの声―――これもあくまで私の主観―――が聞こえてきて神経を逆なでする。

桧山さんが私の名前を呼んだ気がしたけど、無視して店を出て行く。

外に出ると風の冷たさに身体がブルリと震えあがった。

なにこれ。寒い。ものすごく寒い。

私は足早に駅へと向かう。

途中、顔面に突き刺さるような北風が吹きつけるもんだから、私の目にはじんわり涙が浮かんできた。
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