強引上司と過保護な社内恋愛!?
タクシーが来るまでの間、桧山さんの寝顔をじっとりと眺める。

熱は38.6℃まで上がっているそうだ。

ふっくらとした形のよい唇からは時折苦しそうに息が吐き出される。

辛いのかな。

私はそっと額に手をあててやると桧山さんは薄らを目を開いた。

「…いずみ?」

「大丈夫ですか?もう少ししたらタクシーが来ますからね」

「ここは…?」

「医務室です。支店長会議の途中でぶっ倒れたみたいです」

そっか、と呟き桧山さんは苛ただしげにクシャリと髪を掻きあげる。

「いずみ、額触ってて。気持ちいい」

はいはい、と言って私は額に掛かった髪を払うように撫でてやる。

桧山さんはホッとしたように再び目を閉じた。

不謹慎だけど、弱っている時に甘えてくる桧山さんはまた格別に可愛い。

私だけに懐く猛獣…的な感じ。

そこで私はハッとする。

危うくまた勘違いするところであった。

別に私だから甘えてくる訳じゃない。私が女だから甘えてくる。

ただそれだけの事。

この男は女性に甘えることがDNAにしっかりと組み込まれているらしい。

だとしても、ちょっと役得だな。

タクシーが来るまで私は桧山さんの頭を撫でてやった。
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