強引上司と過保護な社内恋愛!?
「看病してよ、泉」

寝室に向かう途中、桧山さんは寄り掛かるふりをして腰に手を回してくる。

「あの、風邪が感染るのであまり近づかないでもらえますか?」

私は腕に力を込めてグイッと身体を押しやる。

リビングの隣がどうやら寝室になってるらしい。

ドアを開けると、広々とした部屋の中央にダブルベッドがデーンと陣取っていた。

その隣に黒の作業用デスクと赤い1人掛けソファが配されていている。

反対側一面はクローゼットになっているようだ。

この寝室だけで私の部屋の2倍はありそう。

日本の格差社会を体感する。

桧山さんは広々としたベッドにごろりと横たわる。

私はふわふわした軽やかな羽毛布団を上から掛けてやった。

延び延びと手足を伸ばす桧山さんはなんだかとっても快適そう。

お坊っちゃまの桧山さんを私の狭いベッドに寝かせた事を、今更ながら申し訳なく思ってしまった。

―――もし、

あのレセプションの夜、おっかない桧山父に遭遇しなければ、私はもしかしたらこのベッドで…。

思わず顔が赤くなる。その先を妄想しかけて慌てて打ち消した。

「何考えてんの?やーらしー」

桧山さんはそんな私を見て冷やかすようにニヤリと笑う。
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