強引上司と過保護な社内恋愛!?
「くだらないですね」

桧山さんの頬からするりと手を離し私はスッと目を細める

「桧山さんをポンコツ呼ばわりするなんて実の父親でも愚かだと思います」

「さすがにポンコツまでは言ってなかったけどな」

桧山さんはやんわり否定すると、むっくり起き上がる。

「泉、三匹の子ブタって知ってる?」

私はこっくり頷いた。

「あるところに三匹の子ブタの兄弟がいるとしよう」

妙な語り口で桧山さんは話し始めた―――


あるところに三匹の子ブタの兄弟が住んでいました。

1番上のお姉さんブタは真面目で努力家、人から褒められるのが大好きな優等生。

そして真ん中のお兄さんブタは、とても頭がよく、参考書一冊程度なら3時間程度読み込めばほぼ内容を暗記するという天才ブタでした。

そして末っ子の子ブタはいたって普通の子ブタ。けれども3人の中では1番優しい心の持ち主でした。


「あの、桧山さんは決して優しい人ではないと思うんですよ」

私は話しの途中で腰を折る。

「ディティールにはこだわんな。取り柄のない奴の言い表す形容詞は『優しい』でお茶を濁しとくもんなんだ」

確かに…

加奈ちゃんのオモチみたいな彼がふと脳裏を過る。

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