強引上司と過保護な社内恋愛!?
「初めまして、暁の兄で桧山肇(ひやま はじめ)と申します」

向かいに座る天才ブタ改め、肇さんは折り目正しく一礼する。

「桧山さんの部下で田母神泉と申します」

私も深々と頭をさげる。

「部下?」

肇さんは、ピクリと眉根を寄せる。

何で部下が部屋にいるんだ?という疑問が全面的に押し出されている。

「まーあれだ、たまに部下が泊まることもあんだろ」

テキトーに桧山さんは流そうとするが「絶対ない」

肇さんは即座に否定する。

しかもさっきの会話も完全に誤解されているに違いない。

肇さんにふしだらな女だと思われていることだろう。

私はバツの悪さに苦笑いを浮かべる。

「しかし、本当にそっくりな兄弟ですね。双子みたい」

聞くところによると、桧山さんと肇さんは年子らしい。

私のセリフにそっくり兄弟は揃って渋い顔をする。

「俺の方がいい男だろ」

桧山さんはフンと鼻を鳴らす。

私はそっくり兄弟の顔を交互に眺める。

肇さんは桧山さんをキリッとさせて―――其れがきっと知性というものなのだろうろう―――物静かにしたいような雰囲気だ。
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