強引上司と過保護な社内恋愛!?
「これ、ありがとう」

仕事をしていると、にゅっとストールが目の前に差し出された。

「よく眠れました?」

あんまり、と言って、桧山さんは欠伸をかみ殺す。

「頑張ってくださいね」

笑顔を取り繕い桧山さんからストールを受け取る。

「あの、いずみ」

不意に名前を呼ばれハッとして振り向くと、桧山さんは数秒遅れて「ん」をつけた。

隣に座る加奈ちゃんの視線を感じてヒヤリとする。

「あの…後でちょっと時間ある?話したい…」

「臨時で全体朝礼を初めます!」

桧山さんが何か言いかけたが松井課長の声によって打ち消される。

「桧山!」

松井課長に手招きして桧山さんを前の方に呼びつける。

ついに…来たか。

私はギュッと目を瞑り息を吐くと席を立った。

営業本部一同がゾロゾロと部長席の周りに集まっていく。

窓から見える高層ビル群の景色を背にして、桧山さんが前に立った。

ああ…なんて凛々しい。

「一部の方にはお伝えしていたのですが、桧山くんが4月1日付けで海外事業推進部へ移動となります」

松井課長の発表に部内は騒めく。

隣に並んだ加奈ちゃんも口元を両手で覆い、大きな目を見開いている。
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