強引上司と過保護な社内恋愛!?
「緊張してますよ」

彼女は抑揚のない口調で言う。

「そんな風に見えないけどなあ」

えーと、と呟き、事前に配布されていた履歴書のコピーを見る。

「ごめん、名前なんて読むの?」

ちなみに俺は漢字が苦手だ。

「たもがみ、と読みます」

「珍しい苗字だね。田母神さん」

女学生、改め田母神さんは、何かを聞こうとして、あの…と口ごもる。

「ああ、俺は桧山と言います」

俺は首から下げた社員証を見せニコリと微笑み掛ける。

こうすれば、大抵の女子は頬を赤く染めるものだ。

…しかし、田母神さんには全く効果なし。

一切表情を変えることはない。

「英文科なんだ。それでうちの会社を受けるなんて珍しいね」

「そうでしょうか」

そして田母神さんは黙り込む。

「何で弊社を志望したのか教えてもらっていい?」

田母神さんはハッとしたように目を見開いた。

「私が御社を希望した理由として…」

そして、突然スイッチが入ったように志望動機を語り始める。
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