強引上司と過保護な社内恋愛!?
「いずみ」

その名前を会社で呼ぶと、瞳にはっきりと動揺の色が浮かぶ。

「臭いお茶を飲むくらいなら、もっと芳醇な香りのする深紅の液体がいい」

「それは…血ですか?」

田母神さんは真剣な表情でトンチンカンな事を口走る。

こうゆうところは天然だ。

「神楽坂にいいワインバーを見つけたから今度行こうよ、2人で」

俺は身を屈め耳元で思いっきり甘く囁く。

田母神さんはローズヒップティーとやらに負けないくらい顔を真っ赤にする。

仕事中のツンとお澄ましした態度とのギャップがたまらない。

「ふ、ふたりで?」

うん、そう、と言って顔を覗き込み微笑み掛ける。

こうすれば、大抵女性は付いてくる事は実証済みだ。

田母神さんだって例外ではないはず。

「あー桧山さん!探しましたよー!またこんなトコで油売って」

同じ部の後輩 西浦加奈が声をかけて来た。

「なんだよ」

いいところで邪魔されて、思わず口調がぶっきらぼうになる。

「18:00から3A会議室でミーティングしてるから桧山さんを探して呼んでくるよう松井さんから電話がありました。たいそうご立腹です」

…しまった…すっかり忘れていた。俺とした事が。
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