強引上司と過保護な社内恋愛!?
「オハヨー!ヒヤマー!」

隣のデスクに座る同僚のリックが下手くそな日本語で挨拶してくる。

「おはよう、リック」

俺は、死んだ魚のような目で挨拶を返す。

シャンバラ・バリは数社合同のプロジェクトなので一緒に働く人々も国際色に富んでいる。

会議や配布される資料、日常のコミュニケーションも全て英会話だったので最初は多少戸惑ったものだ。

ちなみにリックはシャンバラリゾーツから出向されて来ている。

赤褐色の髪にブラウンの瞳をしたアメリカ人だ。

歳も近くお互い独身のため意気投合し、プライベートでも飲みに行ったり、休日にはゴルフや釣りなどを一緒に楽しんでいる。

「元気がないじゃないか!女にでもふられたか!まぁ、ここじゃ振られる女もいないけどなぁ!」

陽気に言ってリックはhahaha!と笑う。

朝からテンションが高い。

「今日は日本から視察が来るみたいだからあんまりダラダラしてんなよ」

「だなぁ…」

リックのお小言を聞き流して、CADを立ち上げた。

午前中は簡易オフィスで製図などのデスクワークを中心にこなし、午後から現場に出て建設機械などのチェックを行う。

作業工程や人員によって導入する機械も異なるため現地リース会社との調整など必要になることもある。
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